旧ライフハック心理学

心理ハック

448 ニューロツリー

どの世界でも「人間関係」(人脈)は大切です。学問の世界でも同じこと。と言うより、学問の世界では、特にそういう傾向が強い気がしました。

以下に示した「人間関係の樹形図」は、神経科学の人間関係図をまとめた、便利な便覧です。私は本を書くとき、一応この図を参照することにしています。

http://neurotree.org/neurotree/tree.php?pid=5980

Neurotree – Yuji Ikegaya Family Tree via kwout

池谷裕二さんをサンプルにとりあげ得させていただきましたが、ちょっと知っている人の名前を入れてみると、面白いかもしれません。脳、神経、生理学系の人名でないと、ヒットしませんが。

なぜこうした情報が有益かと言えば、科学といえども「閥(学閥)」によって、「定説」が変わってくるからです。もちろん「公理」と言えるほど「誰にとってもまず常識」のような「事実」であれば、閥によってそれほど見解が異なることなどありませんが(とも言い切れませんが)、「論争中」の仮説などについては、見解が全く異なって当然です。

たとえば、脳の中で私たちの「視覚イメージ」はどのように機能しているのかといったテーマについては、長く論争の的になっています。このテーマについて、おそらく第一人者と言えば、ハーバード大学のコスリン教授なのですが、この人の主張に真っ向から対立した意見もあります。その意見を展開している人として、たとえば、ピリシンという人がいます。

そこでちょっとニューロツリーを使って、コスリンとピリシンのそれぞれを調べてみました。これだけでただちになにかがわかるわけではありませんが、それぞれの弟子や孫弟子が、どこを卒業し、何をしているか、多少とも情報が集まって、面白いと思います。少なくとも明らかに「傾向」らしきものが見えます。

とくに、これから長期で留学して、やがては博士号までとるつもりでいる人には、こうしたものを「のぞいてみる」のもいいと思います。どこへ行って、どんな研究がしたいと言うと通じやすいのか、あるいは行ってはいけないのか、自宅から集められる情報としては、なかなかのものです。

http://neurotree.org/neurotree/peopleinfo.php?pid=2389

Neurotree – Stephen Kosslyn Details via kwout

http://neurotree.org/neurotree/peopleinfo.php?pid=604

Neurotree – Zenon W Pylyshyn Details via kwout

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447 『マインドハックス勉強法』重版が決定いたしました!

少し以前の決定だったのですが、担当の編集さんより連絡いただきました。
こればかりは本当に、皆様のおかげです。ありがとうございます。
事実上、著者はあまりタッチできない、外装やページレイアウトが美しいのも、よかったのかな、とも思います。
こちらは版元さんに感謝です。
みなさま、今後ともよろしくお願いいたします。

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446 不安定な衝動

ポータブルなブログエディター「Zoundry Raven」

というエントリが、MOONGIFTさんに上がっていました。いつもお世話になっています。

こうしたエディターには、学生時代であれば、あっという間にインストールしたものですが、今では非常に慎重になっています(行動力が低下した?)。

特に学生時代には、「いつでもどこでも仕事ができたら、仕事のつらさは激減するだろう」という幻想をもっていました。

こう思っていた背景には、「仕事には、やりたいタイミングと、やりたくないタイミングがあって、そのどちらのタイミングでやるかは、仕事の印象にとって致命的なほど異なる」という強い思い込みがあったわけです。

30代後半になってみて、この思い込みは100%間違っていたというわけではないが、60%くらい間違っていた、といわざるを得ません。自分を厳しく観察してみると、「仕事がやりたいタイミング」というものが発生するのは、多くても3日に15分程度。仕事にもよりますが。

とにかく、こんな悠長に「発火」を待っていたのでは、仕事は一向にはかどらず、締め切りを過ぎることも再三になってしまいます。基本的には、無理にでも「仕事をするモード」を用意する必要が、結局あるわけです。それならば、ユビキタスで仕事に取り組むことが、必須とは言えません。

もっとも、最近池谷裕二さんの新刊『ゆらぐ脳』(文藝春秋)を読んでいて、「考えさせられる」のですが、学生時代の私もただ怠惰なばかりではなかったようです。

議論は尽きそうもない話ですが、池谷さんは同著の中で再三再四、「脳内活動に再現性はない」という意味のことをおっしゃっています。

とても難しい話で、私にはわかりかねる部分もたくさんあるのですが、二度と再現しない「それ」が起こることを「ゆらぐ」といい、脳は常にゆらいでいるとすれば、私たちには「似たようなこと(を同じ行為と見てしまう)」なら何度もできるが、「同じこと」はまずできない、というふうになります。

必ずしも哲学的、抽象論議ではないのです。たとえば、私は子供の頃ピアノを習っていたのですが、鍵盤を均等の速さで、均等の強さで繰り返しひくということがいかに難しいかで、閉口した覚えがあります。一度できたことを、同じ強さで何度もひくなんて、簡単なことのようです。しかし、これができないのです。

強くなったり弱くなったり、指は言うことを聞いてくれません。そのことを、弾けば至極よくわかります。この「言うことを聞いてくれない」という感覚と「脳のゆらぎ」というものは、密接な関係があるような気がします。

ブログでも書籍でもいいのですが、本を書いているとごくまれに、頭の中で指をパチンと鳴らしたような、「こういう気分でもっていつもものを書くべきだ!」という感覚になれることがあります。「ゆらぎ」という話で真っ先に私が思ったのが、このことでした。これも、どうしてもうまく再現できないのです。同じ時間を選んだり、テーマを夜に決めたり、目にするものを変えたり、アロマをやったりしても、うまくいかないのです。

私たちは生き物ですから、機械のように「再現」するわけにはいかないのは、よくわかります。しかし仕事ですから、ゆらぎのうちにも再現できる技術をつかむことができれば、もう少し楽に、よりベターなものを生み出せるのではないかと、妄想してしまいます。

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445 ショッピングには実行機能

ロンドンで認知神経科学に携わるティム・シャリスと同僚のポール・バージェスは「ショッピング・テスト」というテストによって、脳の「前頭前野」に障害を持つ患者さんが、施設内の心理テストは問題なくこなせても、実社会ではうまくできないことがあると、主張します。

彼らがテストした3人の、交通事故のせいで前頭前野に障害を持つ患者さんの場合、事前に指示されたとおりに買いものが出来ません。リストを手渡されても、それをうまく活用することが出来ません。

そうであっても、何を買うべきかを忘れているわけではないのです。買うべきものを尋ねられると、それには答えることが出来たというのです。これはかなり奇妙な話です。つまり問題は記憶力にあるのではなく、計画遂行能力にあるのです。

What can shopping tell us about how the brain works?
Carrying out a shopping trip, especially in an unfamiliar environment and where you have to visit many different shops, is in fact an excellent example of a situation that requires “multitasking” in everyday life. And we have evidence that these multitasking situations tap quite specialised brain processes. For instance, in 1991 Tim Shallice and I investigated three people who had suffered damage to the frontal lobes of the brain in road traffic accidents. Despite their injuries, they performed well on traditional clinical tests of executive function, and all were intellectually very able, performing on IQ tests within the top 10% of the population. However all three performed a simple real-life shopping test very poorly, and were, unfortunately unable to hold down even simple jobs in everyday life because of absent-mindedness and disorganisation.
http://www.icn.ucl.ac.uk/executive_functions/People/Paul.html

ここで言われていることはつまり、ショッピングとは日常におけるマルチタスクであり、一定以上複雑になったマルチタスクを実行するための脳機能が、患者さん達の場合には損なわれてしまったのだろうというわけです。

さらにここから、こうした患者さんは、たくさんの情報を操作したり処理することなど、とくにマルチタスクに優先順位をつけて実行していくといったことが、できないと考える人もいます。

こう考えてくると、脳のこの領域は、「仕事術」に大いに関係していると思われて仕方ないのです。ただここをどうやって「鍛えるか」とか、「休ませるか」となると、また難しい話になりそうですが。

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444 『やる気ハックス』が選ばれました!

拙著『やる気ハックス』が八重洲ブックセンターの「今月の逸冊」というイベントに選ばれたそうです。担当の編集さんより、以下のようなお知らせをいただきました。どうもありがとうございます。m(__)m

八重洲ブックセンターでは、各階のスタッフが、
月替わりで好きな本を推薦するという「今月の逸冊」というイベントがあります。

スタッフの好みが色濃く反映されるユニークなイベントだそうですが、
8月の「逸冊」として、『やる気ハックス』が選ばれました!

http://www.yaesu-book.co.jp/recommend/index.html

うちから特に働きかけをしたわけではなく、
単純にお店側が推薦してくれたということで、嬉しい限りです。

本当にうれしい限りです。
田中様、どうもありがとうございました!

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