旧ライフハック心理学

心理ハック

タスクシュートの使い方【カベ】

今日はタスクシュートの使い方と言うよりも、仕事術的な考え方の話です。

拙著『ルーチン力』をはじめ、シゴタノ!でも時々「カベ」という用語を使いますが、これは要するに「プチ締め切り」とも言えますし、仕事のモチベーションを高めるための、ちょっとしたご褒美タイムと考えてもいいでしょう。

元を正せば、私の知識の及ぶ範囲で言いますと、このことを強調されていたのは野口悠紀雄さんだったと思います。野口さんは、学者ですから学術会議で海外へ出る。その際ついでに観光旅行もされるのでしょう。海外へ出なければならない、そのタイミングが「カベ」になる。もっともこれは、決して「プチ締め切り」などというものではないようですが。

私たちは一般に、次に確定的に楽しいことが待っているとなると、モチベーションに火がつくのです。仕事が終わったら、デートがあるとか、そういった話です。そういう日はたいてい、デートがない日よりは、進行具合がよく、懸案もこなせたりします。

これをタスクシュートでは、意図的に利用しています。タスクシュートはここ何回かで述べたとおり、基本的に扱っているのが「タスク」なので、何をどういう順番で片付けようと、あるいは先に送ろうと、それはすべて本人の選択に任されています。しかし、中に本人の自由にならない「予定」が混じっている。これが「カベ」として働きます。

たとえば先日も上げたこの日の例では、当然「テニス」や「昼食」は「カベ」に当たります。そこ近辺にさしかかるほど、そこまでにこなした仕事へのモチベーションは自然と高まっています。楽しさと時間的な制約のおかげで、頭が自動的に興奮してくるからでしょう。

このカベを意識的に増やすこと。それもなるべくなら、ポジティブな「カベ」を増やすことによって、仕事に対するモチベーションを常時高いレベルに保持しておくことができるのではないか、と、よく考えています。