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もし大金が手に入ったら?

本書は、決して読みやすい本ではありませんが、にもかかわらず、いろいろなことを教えてくれる本です。本書が気づかせてくれることの中でも、一番大事なことは、

お金とは、様々な感情を伴う存在なのだ

ということです。これを見落としては、お金に関する動物占い的なタイプ分けなど、ほとんど無意味なものになってしまうでしょう。

お金とは、感情をともなう存在。では、どのような感情をともなうものでしょうか? いいかえれば、あなたのお金にまつわるイメージとは、何でしょう?

人は、自分と他人とを比べたとき、自由にできる金額が違っていることも、お金に対する考え方が違っていることも、「自分は常に正しい」と言い切ることの危険性についても、よく承知していながら、それでもお金に対しては相当に固定的な観念にとらわれていて、それを変える気も疑う気も、ほとんどないものです。以下に、いくつかの「お金に関する感情」をリストアップします。

どれも一部は正しく、一部は間違っていますが、たいていの人がお金というものに、こうした固定観念を抱いていることでしょう。これを自覚し、修正することこそ、本書を読むことの意味なのです。

・お金は人間の価値だ

今週月曜日のテストには、この考え方が大いに問われていました。本書にはこうあります。
もし○○の収入がなくて、○○の貯蓄や投資財を持っていなかったら、私の価値はゼロに等しい」。

・お金は保証だ

この考え方は、比較的受け入れやすいものでしょう。
今も休暇を取る余裕はあるけれど、その分のお金を貯めておけば、5年後には三週間の休みが取れる」。
こういう発想は、たしかに「お金は人間の価値だ」よりはずっとましなものに思えます。それでも、お金にレッテルを貼っていることに違いはないのです。

・お金は愛だ

意外ですか? しかし、次のような考えを抱いている人を想像するのは、難しくないように思えます。
みんなが満足に暮らしていないうちは、自分のことにお金を使うわけにはいかない」。
非常にまっとうにも見えます。しかし、それではみんなが満足に暮らすようになったら? もう何をする必要もなくなるのでしょうか。

・お金は麻薬だ

これは少しエキセントリックな言い方ですが、本書から引用すれば、どきりとする人もいるでしょう。
悲しみ、寂しさ、心細さ、怒りを覚えたり、心がうつろに感じたりするとき、もしお金を使うことで気持ちが晴れるとしたら、あなたはお金を薬として使っている」。

・お金は力だ

これも月曜日のテストでチェックポイントになっていました。お金を持てば、権力をふるうことができる、というふうに言えば、これはかなり問題視されそうですが、これまたひっくり返すと、穏当に聞こえても不吉な発想になり得ます。
お金がたくさんあれば、私は自由になれる。そしたらそのお金を、有意義な社会活動に回せるのに」。
この考えに強く支配されるということは、お金が相当量はいってこない限り、決して自由にはなれないということになります。仮に大金を手に入れたとしても、その自由は金銭によって保障される自由だというわけです。

・お金は幸福だ

これこそが心理学でも頻繁に取り上げられる、非常に難しいテーマです。心理学の多くの研究は、これを否定する方向を向いているようですが、そうは言っても多くの心理学者が、少なくともアメリカでは、けっこうな高給取りです。
お金があれば、パリに行くか、映画学校に通う貸して、夢を叶えられるのに

以上はもちろん、どれも部分的には正しい考え方です。同時に、お金と自分の感情とを、非常に強く結びつけています。ということは、お金の出入りによって、感情が大いに刺激されるということも、意味します。

本書は、それへの解毒剤となることを目指しています。完全に成功しているとは言えませんが、そもそもそういうことを目指している本自体がまだめずらしいのです。それだけに、なかなか価値ある一冊だと、私は思っています。