ライフハック心理学

心理ハック

減らすための判断力をつける4つの基準

『減らす技術』『脳が教える!1つの習慣』『情報ダイエット仕事術』などの書籍には、「減らすことの重要性」が強調されています。広義の「減らす技術」というのは「断る力」の中に含まれるのではないかと考えます。たとえば、書評ブロガーや新聞広告の「本を読みましょう」という提案を「断る」のも、減らす技術の一応用例です。

ただ、いつの時代もそうですが特に今、持ち物を減らすのも読み物を減らすのも、自覚的努力なしにはまずできません。自然の感情にまかせていては、何もかも増える一方です。なので私はいつも、「減らす意識」の覚醒レベルをかなり高くしておいて、いくつもの条件がそろわないかぎり、時間を失うような活動を自発的にとるようなことはしまいと、決めています。

そのために実行しているのが、おおむね以下の4つの基準に、無意識にしたがうことです。

1.容器を増やさないことを第1に考える

容器とは、書棚、HDD、収納棚、その他です。

本が床に溢れても、書棚は買わない。そうすることで、新しい本を買うという購買行動を差し控えるか、それとも本を処分するかという、いずれかの決断を自分に強いることができます。この決断をせずに済ませる上で、書棚の空きスペースは、逃避を促してしまいます。

2.新しいものが欲しくなったら記録をチェックする

新しい活動を欲したら、というのが正しいのですが、基本的には同じ事です。

人間には、新奇性欲求という心理があります。新しいものと、めずらしいものを生来、欲するのです。これは拙著『「ロボット」心理学』や、『夢中の法則』で追求したテーマでもありますが、欲しくなる新しいものは、常に、馴染みのある刺激の別バージョンです。

すなわち、過去に自分が得て満足した、類似品があるからこそ、新しい「それ」が欲しくなるのです。新しいネットブックを欲しがっている人は、過去にモバイルギアのようなガジェットを購入しているものです。過去の記録を調べれば調べるほど、新しいものを購入した後の自分の気持ちが、推し量れるようになります。少なくとも購入前に、悩む時間をいつもの3倍とる価値はあります。

3.やりたいこと、欲しいもの、欲しい本はすべて書き出し、整理して頻繁に読み返す

私はGTDを、この目的で利用しています。

こうすることで、「他に欲しかった似たような本があったけれど、類似の新刊の方を買ってしまった」という行動を防げるのです。同様に、「他にやりたかった似たような行動があったけれど、類似の別の行動をとってしまった」という時間の使い方も防げます。

書き出す。しかしやらないのです。すべてをやる時間は、ないからです。が、放っておくとそれらの行動への衝動が、無意識のうちに育ってしまうので、整理して、毎朝読み返し、凍結させます。時間が空くと、当然、他の行動が入ってこようとしますが、それは「凍結」の対象となり、別の行動と比較の上で、新規加入が許されるというわけです。

4.優っていることに対する猜疑心を常に意識する

これはLifehacking.jpの堀さんと話していて考えさせられたことですが、私たちは、たとえそれにたいした価値を認めないときでも、知っていることは知らないことよりはよいことだとみなします。

クイズ番組などを家族と見ているとき、そのことがあからさまになります。知っていてもしようがないような知識でも、知らない方がほめられる、ということはありません。知っていることは、常に、よいことなのです。この価値観は、アカデミーの世界からお茶の間まで、ありとあらゆる世界で通用していますから、当然のように受け入れてしまうのです。

この自然と受けいれている価値観を、少しシリアスに煽られてみると、簡単にあつくなってしまいます。より多くの知識をつけるために、より多くのお金と時間を求め、より多くの書籍を読まなければならなくなるわけです。

「オーストラリア大陸で、一番高い山は?」

もしかするとあなたが心身を失調したのは、それに答えられなかったときに悔しい思いをして、ビジネス書を年に100冊は読もうと決意したことに、起因しているのかもしれません。