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心理ハック

決められないときの心理ハック – 6つの「今」を検討する

  • 2010年01月31日 (日)
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今日、「先送り」をテーマとした本を脱稿しました。あくまでも仮タイトルですが、『それでも「動けない」人の心理学』という本です。

この本の原稿を読み返していて、つくづく思ったのは、「先送り」と「決められない」という心理には深い関係があるということ。心に引っかかるものがあって、「あの人にメールを送ろう!」と決意したつもりでも決断できていない。そんなとき、メールを書くのがいつまでも先送りになります。

休暇をとって、「思い切って海外旅行に行こう」という場合なども、この種の先送りが発生します。思い切れなければ、仕事が何らかの形で続いてやってくるため、休暇はいつまでも先のばしになります。

では、私はどうやって「決断」しているのか? 内省してみたところ、ライフハックとして、次のようなテクニックを使っていました。

1.まず、「今」それができるか、考える

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今すぐできるかどうかを、検討してみる。もちろん、たいていはそうできないからこそ、長々と先に送ってきたのです。

思い切って決断する。といえば聞こえはいいですが、「今すぐやる気がない」のであれば、決断はしていないのです。それには、きっともっともな理由があるはずです。

2.では、「今日」それができるか、考える

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今すぐは無理かもしれません。しかし「今日中」ならできるのでは?

今できなくても今日の夜ならできるということは、現にあり得ます。たとえば今は、疲れすぎているからとか、時間が全くないなどという場合です。これはもっともな理由です。

一方で、「今は勇気が出ない」という理由は、後に送る理由としては、あまりもっともではありません。「夜ならば勇気が出る」というのはおかしな話です。

「今はできなくても、今日中ならできる」というのは本当でしょうか? この点を吟味するのがこのステップです。

3.「今週中」ならできるか?

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これは先送りの一般的形態だと、個人的には思っています。「今週中」というと、とてもじっくり時間がとれるように、漠然と思ってしまうのです。金曜日に大量の仕事がたまるのは、この思考パターンの結果です。

私は幸いタスクシュートを持って以来、これが本当でないことを目で見て確認できるようになりました。今日と明日と金曜日は、ほとんどまったく同じように時間がないのです。したがって「今日は時間がないけれど、金曜日ならありそうだ」というのは、幻想です。

しかし、「今日一日では無理だけど、三日に分ければできる」という理由は健全です。今週中でもよくて、少しずつ時間がとれるなら、この形にすれば「決断」できるでしょう。

4.「今月中」ならできる? 「今月中」にやりたい?

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3の「今週中」と非常によく似ていますが、3よりもなおたちの悪いのが「今月中」。

「今月中」は2つの幻想を与えます。「時間がありそうだ」という幻想と、「勇気があるときも三十日間のうちの一日くらいなら、ありそうだ」という幻想。このようにして人は、異性への告白をのばしのばしにするものです。

しかし、たしかに、今日とか今週では、人は変わりようがないし、スケジュールもいっぱいでがんじがらめになっています。ある程度大きな決定を実行に移すには、ひと月くらいが必要になります。

この意味で、「今週中」までとは異なり、「今月中」を検討に入れるときには、「見込み」を大きくすることができます。「今週」まではただたんに「できるかどうか?」「時間はあるか?」を問題としていました。

しかし「今月中」となると、「本当にそれをしたいのか?」がようやく検討され始めます。「今月中」は「できるか?」と問うばかりではなく「やりたいか?」を問う、独特のスパンになります。

5.「今年中」にやりたい?

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スパンが長くなってくると、問いは「できるか?」ではなくて「やりたいか?」に変わっていきます。時間があるかどうかではなく、気持ちはあるかどうか、ということになるわけです。

したがって、「今日中にやれるか?」に対して「やれる!」と答えたのに、ぱっとできないなら、「今年中にそれをやりたいか?」という問いも、同時に自問します。本当はやりたくないことだから、「やれる」としても手をつけようとしないのかもしれません。

6.「今生」でやりたい?

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そして最後に来るのがこれです。結局それは、「やりたい」ことなのかどうか。

一見したところ「今生」は最も長いスパンですが、明日までしかないかもしれないという問題をはらんでいます。

ごく短いスパンで考えれば、「それはできるかどうか?」に焦点が当たり、より長いスパンになればなるほど、「それをしたいのか?」と考えるようになります。

そして「今生で」となると。

「今生」が「長い」と思っている人は、「やりたいかどうか」に焦点が当たりがちでしょう。
逆に「短い」と思っている人は、「できるかどうか」を考えるはずです。

まとめ

本日の心理ハックをまとめるとこうなります。

—「やろうかどうするかで迷う」ことがあったら

1.今
2.今日中
3.今週中
4.今月中
5.今年中
6.今生

それぞれのスパンで、できるかどうか、やりたいのかどうかを、検討する。