心理ハック
簡単に「自律」しようとしない
今日、友人と会いました。そこで、よくされる質問をいただいたのですが、「ずっと自宅で仕事をしていると、自分で自分を律するのに苦労しないか?」と聞かれました。
これは誰が見ても簡単な問題ではありません。ということは、一定の解決を図ることはできても、完璧な解決は望まない方がよいし、一定の解決であってもそうスマートにはいかないはずです。
まず「他律」をできるだけ使う
シゴタノ!の大橋悦夫さんがよく「他律」という言葉を使うのですが、私もまずは、「自律しようと思う前に他律を考える」癖をつけています。きれい事を述べ立てるのは簡単ですが、次のような「箴言集」をいくら集めたところで、原稿を進める役には立たないものなのです。
・今日できることを明日に延ばすな
・やる気があればできる
・いまやらずにいつやる
・自分がやらずに誰がやる
まだ挙げられますが、ばかばかしいのでこの辺でやめておきます。これは心理学的ではなく、個人的な考えですが、「自律」がなかなかうまくいかないのは、「理想」を語っているところが「理性」であることが多いからです。
「自分で自分の背中を押す」という表現を使う方がいらっしゃいますが、これがうまくいくのは、「やらねばならぬ」と言っているのが、理性(知性)の部分ではなくて、情動的な部分である場合でしょう。情動が前向きになっているときには、大変なことでもけっこうやれます。
しかし、前向きになっているのが思考の、言葉のところだけだと、身体は動き出さないものです。情動が前向きになっていないときに、自分の頭の中で、もっともらしい言葉を並べるのは、効力ゼロではないにせよ、大きな成果は期待できません。
「背中を押す」のは他人だというのが結局効果的です。締め切り効果、進捗状況の共有、催促など、基本的には他人が介在した方が、情動を活性化しやすいのです。
情報で情動に働きかける
しかし他人に背中を押されるのはときに不愉快ですし、いつもタイミングよく押してくれるとも限りません。
そこで、自分の情動に働きかける手段を持つことになります。それは単なる「やらねばならぬ」にたぐいする言葉より、
・先送りした結果はどうなるのか?
・現状プロジェクトはどこまで進んできたか
・自分がもともと想定した現在はどういうものだったか
を知ることです。最も簡単なところでこれは、Googleカレンダーを「見る」ことでしょう。
見ただけで情動に火がつけられることはよくあります。私自身は、いつもいつも計画を立て、いつもいつも計画を眺めています。最適な緊張状態を、情動がその情報から作り出せるように調整しているのです。