旧ライフハック心理学

心理ハック

まずは正直な行動観察から

実際にハックをやってみたり、考え出したりする際に、いちばん重要なポイント。それは、実は「自分に対する正直な観察力」だと思う。自分に対して些細な過大評価をしないこと。

高畑正幸『』(河出書房新社)より

自分に対する些細な過大評価を放置する、もしくは気づきすらしない。というのが、もっともライフハック的でない態度、ということになるでしょう。

・自分の記憶力を過信する
・自分の几帳面さを過信する
・自分の意志力を過信する
・自分の継続力を過信する


そうすると、記録をとらなかったり、あとでさくっと片付けようとしたり、寝てはいけないところで寝入ってしまったり、安易に新しいことを始めてしまったりするわけです。そうして失敗すると、「さらなる記憶力」や「さらなる意志力」を求め、自分の至らなさに対する、自罰的傾向を持つことになります。

ライフハックで、一見かなり面倒そうなことを、可能な限り面倒さを廃しつつ継続する手法が紹介されるのは、もしも「記憶力」や「意志力」が、「こんなに低いというのが現実だとしたら、どうする?」という問題に応えるためです。

対策はおおざっぱに分けて3通りあって、折衷案をとることもできるのですが、折衷案は結局問題をそのままにしてしまうことも多いため、原理主義的な「回答」が必要とされるわけです。

1.現実的な意志力の弱さにすべての元凶があるのだから、意志力をもっと発揮するべきだという、体育会系的な解決案

2.意志力や記憶力の弱さを相当にひどいものと受け入れて、ツールや工夫による解決を探るライフハック的解決案

3.意志力や記憶力の弱さは人間らしさなのだと受け入れて、理想主義を廃した「生き方」に徹する、諦観的態度


「朝はとにかく5時には起きる!」という態度と、「二度寝するのが当たり前」という態度は、当然相容れないため、1と3の態度の間には緊張感があります。ライフハッカーはしばしば、両者の緊張の間にあって、分裂しそうになります。

あるいは、分裂気味だからライフハッカー、なのかもしれません。