心理ハック
仕事を先送りしそうになったら自問する7つの質問
以下の質問事項は多すぎる、それより私のやっている「たった1つの問い」だけを思い出せばいい、という素敵な指摘をなされる方もいるでしょう。
その方がよければ、ぜひそうしてください。私も以下をもっと少なくまとめることはできるのですが、今回はあえて分解しています。
「先送りしたい気持ち」というのは頑固なものなので、基本的に前向きな精神に満ちている人は、ちょっとした心理的な切り替えで前に進めると思うのですが、常習的に先送りしている人の場合、気分が全然乗らない原因を細密に分析した方が、現実的だと思うのです。
1 タスクをもっと小さく分解できないか?
なぜかこれをしたがらない人が多く見られますし、やらないうちからこれに難癖を付けたがる人も少なくありません。いささか不思議です。
今まさに先送りしようとしているのに、目が「遠方」を見ていたのでは、実際には身体が動きません。注意を「目の前」に向ける必要があるのです。今すぐできることは小さいのです。ですから、実行するためのステップもそれに見合う大きさであることが必要です。
2 今やろうとしていることは、つまらなくないか?
つまらないと感じることと、先送りしたいと思うことは、ほとんど同じ事です。これは「注意」の問題に帰着しますが、より多く注意できること楽しいことであり、注意すればますます楽しくなります。
したがって、とにかく集中することが先です。問題はつまらないと集中できないことです。だからタイマーを使って、時間を切って、集中するのです。タイマーを使っても、面白くはなりませんが、集中はできるようになります。そのうち、耐えがたいつまらなさは、たえられるようになります。
経験では、心理が変化するのに必要な時間として、私の場合3分40秒ほどかかります。
3 「忙しさ」に逃避しようとしていないか?
これは難しい問題なのですが、「偽善グズ」という言葉があります。人からの用事を満載に積んで、自分がやるべき事から逃げてしまうのです。
「本来やるべきこと」というものを、人はちゃんと知っていますが、それに手がけるためには、いつもより多くのプレッシャーを受けるものです。大事な1つの仕事より、たくさんの作業に逃避して、生産効率を上げている気分に浸ってしまうのです。
シゴタノ!の大橋悦夫さんが提唱する「3タスクス」をやってみてください。簡単に言えば、メモの紙片に、「今日やりたい3つのこと」だけを書き抜いて、それだけは絶対やり抜くのです。
4 やるべき「設定」をやっているか?
人は、本当に必要ではないことを、めったにやりません。そして常に時間は足りないため、時間を短縮できる方法を覚えるために時間を費やす、ということができないのです。
これを避けるために必要なライフハックは、非常に不思議に聞こえるかもしれませんが、ライフログを取ることです。自分の中の客観的な視点(観察的自己)を強化するのです。繰り返し繰り返し、「自分がやっていないこと」を、鮮明に浮き上がらせるのが狙いです。
5 見積もり時間が、短くないか?
私はタスクシュートで仕事をしていますから、全タスクには見積もり時間を与えていますが、それでも時々、「見積もりゼロの仕事」を作りそうになって、猛省します。
1秒もかからない仕事はあり得ませんし、あるなら、それをタスクリストに書く理由がありません。
より短い時間の中でやろうとすると、無用なプレッシャーを背負い込むことになります。モチベーションは下がり、注意力も失われ、作業がつまらなくなります。ちょっと余裕を与えるだけで、仕事に取りかかる気持ちは劇体に改善されることがよくあります。
6 なにかの締め切りが間近か?
何かの〆切が迫ってくると、関係ない仕事をどんどん先送りにしてしまうという現象は、きわめて広範囲に見受けられます。
これはタスクシュート式だろうとGTDだろうと、あるいは他の仕事術だろうと、戒めている類の問題です。「次にやること」だけに集中するべきなのに、そうなっていないことがはっきり現れてしまっているからです。
他の仕事の〆切が迫っていても、そちらが間に合うのであれば、目の前の仕事に集中するべきなのです。そうでないなら、締め切り間近の仕事を先にやってしまうことですが、だからといって目の前の仕事を「翌朝へ」あっさり回すべきだという理由にはなりません。
7 感情的な問題を引きずっていないか?
一見仕事と関係ないようで、実は非常に関係あります。ある意味では前の「締め切り間近問題」も同じ事です。
感情的な問題を引きずるということは、特定の記憶内容に、注意が固定されているということです。すると、目の前の仕事に注げる注意リソースはずっと不足したままになり、携帯電話を気にしながら運転するという状態に置かれてしまうわけです。
感情的に何かを引きずっているなら、そのことを書き留めておきましょう。これはユビキタス・キャプチャのひとつです。臨床心理的には、筆記療法の簡易版です。「後で考える」から「今は忘れておく」というテクニックです。