心理ハック
不安心理をハックする
不安というのは非常に主観的で、同じ刺激に対してもまったく不安を感じなかったりやたらと不安がる人がいると同時に、不安を感じることはかなり不快で不便なことなので、昔からあらゆる心理学分野で取り上げられてきました。
認知心理学という分野は心理学の中でも、「主観」を「分解」して「分析」するのが好きな人が関わってきたようで、「認知的不安論」というのがありますが、やっぱりとても分析的です。
それを簡単に説明すると、次のような感じになります。
1.不安を引き起こす原因になっていることが、どのくらい驚異的か。自分と関係があるかを評価する
2.驚異的で自分に関係が深いとして、自体をコントロールできるかどうかを評価する
3.驚異的で自分に関係が深そうで、かつコントロールできるスキルも自分に欠けているとわかると、不安は増大する。しかし、それを「再検討」して和らげることもできる
以上を専門用語でいうと、「1次的評定」「2次的評定」「再評定」などとなります。試験に出るのでよく憶えておきましょう。
冗談はともかく、言葉がヤーゴンなわりに、いっていることはしごくふつうです。たとえば「大勢の前でスピーチしろ」と指名されたとしましょう。
1から、それが大変驚異的で、かつ自分がスピーチするのだから、すごく関係が深いといわざるを得ません。不安は増大するわけです。
2から、残念ながら自分のスピーチスキルは乏しいとすれば、事態をうまく制御出来なさそうだということで、やはり不安は増大します。
しかし3の再評定において、前回のスピーチ会場には実は5人しか来なかったということを思い出したり、前回講演者の講演も、「人のことを言える立場ではないがひどいものだった」と思い出せれば、実際のところ不安は低減するでしょう。
ここのところには「マインドハック」がありそうです。しばしば認知心理学そのものがマインドハックになっていることがあります。これはその1つの例です。