心理ハック
習慣化に役立たないリマインダー
「習慣化にリマインダーを役立てたい」と考えたくなります。朝iPhoneのアラームが鳴り響き「10キロ走ってこい!」と表示されるとか。しかしこれだけやっておけばうまくいくとはとても思えません。うまくいくこともあるのですが。
「続けるのを忘れる」以外の挫折理由が多い
習慣が続かなくなる理由の1つとして「忘れる」はあるでしょう。中国語の勉強をするはずだったのに忘れたとかウォーキングに行き忘れたということはあり得ることです。
しかし挫折の最大要因はおそらく忘却ではない。「憶えているけどやりたくなかった」ということを3日繰り返せば挫折します。おそらくこちらの方が一般でしょう。
憶えているけどやりたくない。この心理状態で「お知らせする」リマインダーはおそらく役に立たずむしろ有害です。それによってやる気が増すとはとても思えないのです。アラームはどちらかと言えば「罰子」として働き、行動の継続力を弱めてしまいそうです。
それでもリマインダーを使うとすれば
iPhoneにもandroidにもふつうの携帯にもおよそ「リマインダー」は無数にあります。さらには「継続のための支援ツール」もたくさんあります。
あれほどあっても「三日坊主」の悩みが絶えないのですから「これがあれば楽しく続けられそうですね!」などという文言にごまかされてはいけません。書いている人だってそれで何かが続けられているかどうか疑わしいものです。
それでもリマインダーを使うとすれば「思い出すため」よりも「波に乗せるため」であるべきです。
理想を言えば朝起きて最初に知らせるべきは「帽子をかぶれ」「靴下をはけ」などでしょう。その行動が終わったら「ジャージを着ろ」「手袋をはめろ」などに変わり、いつの間にか外を走っていたという格好になるのが正解です。
私たちは行動を起こす前に行動を意図することが多いものです。しかし「意図する」ということ自体にエネルギーが必要です。元気なときはなんでもなくても朝ものすごく眠い時間に「強い意図」をしたらそれだけで疲れてしまうでしょう。そこからさらに「10キロ走る」というのは難しいのです。
難しい行動を習慣化するには「意図せずできること」を連続して行うだけでいつの間にか「習慣化すべき行動」へと至っている必要があります。「靴下をはく」などは意図せずできるのでリマインダーの指示などまったく不要です。だからリマインドされても不快にならずにできるのです。
習慣化できていない行動を習慣化するには、その行動を起こすまでの「間隙」を意図せずできる行動によって埋めてしまうことです。そのプロセスを間違えず確実にやるためにこそリマインダーを使いましょう。