ライフハック心理学

心理ハック

003 計画する前に取りかかるべき仕事

「ファーストタスク」という言葉があります。マーク・フォースターという人の言葉なのですが、1日の計画を立てる前に5分でいいから手がけるべき仕事を指します。

計画を重視しない人にとってはどうと言うことのない話でしょうが、マーク・フォースターは非常に綿密な計画を推奨している人です。ですから「ファースト・タスク」というのはものすごく特別扱いされるべき仕事なのです。もちろん時期や状況によって何がファーストタスクになるかは変化します。

たしかに「ファースト・タスク」を定めると進みます。やりたいことであれば何でもいいのです。私はしばらく読書をファーストタスクにしていましたが、今日は原稿書きにしました。クリエイティブかどうかは私は考慮していません。しかし次のライフハッカーからの引用は、おそらく同じことをいっています。

ところが、1日中家にこもって仕事をする日であれば、朝起きたら、すぐにパソコンの電源を入れて、寝起きの格好のままでも、髪に寝癖がついたままでもいいので、とにかく1分でも早く仕事をする方がいいらしいです。クリエイティブな仕事の能力というのは、陽が昇れば昇るほど減少していくというのです。

仕事の創造性と生産性を上げるには、朝起きて1分でも早く仕事をするのがいいらしい : ライフハッカー[日本版]

「認知資源」は減る一方と考える


「認知資源」という概念が最近ようやく人口に膾炙し始めました。社会心理学でも認知心理学でも使われる考え方ですが、物事を判断するために使う心理的なエネルギーのことです。

Cognitive Resource Theory(英文)

ダニエル・ギルバートとというちょっと面白い社会心理学者がいます。

▼ダニエル・ギルバートの講演(字幕つき・このエントリの内容とは関係がありません)

彼によると、人は疲れていると認知資源を極力節約しようとしてしまうため、偏見にとらわれやすくなる(英文)というのです。

この研究はふつう「偏見やステレオタイプを抑制するためには認知資源が必要」という文脈で語られることが多いわけですが、それなら、カテゴライズや認知的判断において「認知資源」というものが必要だ、といえるとおもいます。

起きて生活を始めれば、「認知資源」は否応なく使われていきます。私達はものを見た瞬間からすでに「カテゴライズ」をしにかかりますし、メールチェックしたりツイッターを読み始めれば、認知的判断せずには済まされません。仕事中はいうまでもなく、対人交渉では消費量が増大するはずです。

もし「認知資源」というものが回復するとすれば、それは睡眠中ということになるはずです。回復せずともなくならなければいい、と考える人もいるでしょうが、「脳は認知資源を節約している」という表現は心理学の教科書に決まって登場します。節約するということは不足もするしなくなりもするものなのでしょう。

認知資源が睡眠中に回復するとすれば、それがもっとも豊富に使えるのは起きた直後ということになります。朝起きてすぐメールチェックしたりTwitterを見ないというのは、認知資源という文脈では重要だと思います。ここで「ファーストタスクに取り組むべき」というのも同じ意味でしょう。