ライフハック心理学

心理ハック

012 プロジェクトを階層式に分解すればタスクは進めやすい

そのようなことは先刻みなさんご存じだからこそ、Omnifocusはじめ階層構造(ツリー形式)を扱えるタスク管理ツールは多いわけです。

階層式に整理するとわかりやすくなる理由はおそらく、モノというものの性質のせいでしょう。小さいものはより大きなものに収まります。その3次元的な性質に適応した心にとって、大ー中ー小という構造のものは理解しやすいわけです。

3次元の性質に沿って階層構造が案出されたと仮定するなら、「モノの整理」にはOmnifocusなどがうってつけのはずです。現に私はしょっちゅうそうやって掃除しています。つい最近もやりました。下のような書棚を整理したときに利用したのです。


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これで書棚のこの分が空くはずです。書棚の一区画を大項目。区画ごとにやるべきことをタスクとしてぶら下げてやります。そしてそれぞれにムリのない期限を決めます。このことをOmnifocusで表現すると次のようになります。


書棚整理05-2-1.jpg

ちょっと小さくなっていて見えにくいのが申し訳ないのですが、こうやって日付を振っていけば、毎日やることは申し訳程度のことばかりです。「捨てる本をピックアップする」だとか「縛る」など、1日ずつやることもないように思われるでしょう。

でもこうやっていく限り、一度にやることで「大変だ」と感じることはまったくありません。たしかに日数はかかりますが、いつか必ず書棚の空く日がやってきます。そんなイメージを持つ必要もありません。

ただただOmnifocusの指示に従って、Toodledoへ「今日の10-12」というセクションにタスクを移し、時が来たら縛ったり捨てたりするだけです。そのうちに書棚は空き、隣の書棚から本を移せば、次のようにがらんとした書棚が現れます。


bookshelf003.jpg

毎日やっていることは9分30秒程度。この計画を立てるのに使った時間は7分56秒。もちろん慣れなければ面倒そうに感じられるでしょうが、「時間がかかりすぎ。よほどの閑人でもなければとてもやれない」などというのは私にはウソっぽく聞こえます。

世の中には官房長官のように7分56秒とは言え大いに惜しまなければならない人もいるわけですが、そうでもない人も少なくないはずです。

もちろん繰り返しになりますが日数はかかります。この計画を立てた日は6月14日で、計画を開始したのが6月15日。金曜と土曜はお休みにしています。それに最近家族旅行で4日間開きました。

そういうわけで、実はまだこの書棚整理計画は完了していません。現在の完了予定日は今月27日です。ただこれだけのことに一ヶ月以上かかってしまうわけです。

ただ最近ちょっと話題になっているような、「掃除は一気にやりきってしまわないと、いつまでも片づかない」というのはウソだと思っています。少なくとも私には当てはまらないケースです。じりじり進めればいつか必ず片づきます。必要なのはごく当たり前の能力で、何ら超自然的な力は使わなくてもできることです。

もう一つ、心理学者ですらよく「片付ける能力」と養育歴をからめたがります。はっきりいってあまり関係ありません。私は父母どちらよりもこの手のことが得意ですが、妹はやけに苦手としています。私は実家も「階層式」で片付けさせたいのですが、「そんな面倒そうなことがよくやれる」などと、まるで私のアンチのようなことを両親にまで言われる始末なので、我慢するようになりました。

掃除はあまりビジネスライクなサンプルではありませんし、にもかかわらずいかにも階層式に具合のいいネタと思われるでしょう。しかし階層式が具合がいいのは、私達の頭にとってです。ですからプロジェクトを進めるのに階層式を適用するのは、掃除に限らずうまくいくことが多いのです。