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038 常連タスクをやっつけるために環境を変える

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タスクリストに残ってしまう「常連タスク」に取り組むのは、リストに載ってから日が経たないほどベターです。1日先延ばしにする分、取りかかるのが難しくなります。

その理由を説明するには、やはり「自己ハーディング」が一番しっくり来ます。行動心理学者のダン・アリエリーは、生まれて初めてスター・バックスコーヒーに入ってコーヒーを注文した人は、深い考えもなくそうしている点を指摘します。

最初は深い考えなく、「たまたま立ち寄っただけ」だとしても、その結果スターバックスに入る「習慣」が根付いていきます。カフェインに麻薬ほどの効果はないし、中毒性があったとしても、それならマクドナルドのコーヒーでもいいはず。なぜわざわざ「高いコーヒーを飲む習慣」を身につけてしまうのでしょう?

翌週、あたなはまたスターバックスの前を通りがかる。立ち寄ろうか? 理想的な意思決定をするには、コーヒーの品質、ふたつのコーヒーの価格、そしてもちろん、もう数ブロック歩いてダンキンドーナツまで行く手間(または価値)を考慮するべきだろう。ただしこれは複雑な計算になる。そこで、簡単な決定法に頼る。「前にもスターバックスにはいって、気持ちよくコーヒーを楽しんだのだから、これはわたしにとっていい決断にちがいない」というわけで、店にはいってまた小さいサイズのコーヒーを注文する。

「人は複雑な計算を避けて直感に頼る」というのが、ヒューリスティクスの基本概念です。

これとまったく同じように、「昨日もこの仕事を先送りにしたけど、そうすると決めたとたん、大きな開放感を味わったし、この仕事をしなくても別に悪いことは起こらなかった」という記憶に基づいて、今日も仕事を先送りにするというのは理にかなっています。もちろん明日も明後日もそうするでしょう。

環境を変える


そんな「常連タスク」に手をつけるにはどうしたらいいか?

先の引用をヒントにして考えてみましょう。スターバックスに通うことが習慣になってしまっているとします。それを変えるにはどうしたらいいか?

簡単に考えつくのは次のいずれかでしょう。

・スターバックスの前を「たまたま」通りがからないようにする
・スターバックスの前を通りがかかる前に、他のところでコーヒーを飲んできてしまう

これをタスクに適用するなら次のようになります。

・「常連タスク」を先に送れない日に取り組むか、公式に発表してた日に取り組む
・「常連タスク」を他のリストで目にするようにする

方法としてはいかにも小手先ですが、これでタスクが片づくなら別に悪くはないでしょう。ただ、ひんぱんに用いると効果が薄れるので、やるならめったに使わないツールを使ったり、全然違う環境で取り組むことです。

もし小手先に方法に頼らないということであれば、そもそも先送りの「常連タスク」を作らないようにするのが理想的です。つまり「たまたまスターバックスの前を通りがかって、深い考えなくそこに入る」ようなことは避ける必要があったのです。