ライフハック心理学

心理ハック

039 いくら使ったら幸せになれるのか?

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こういう問いかけ自体、なにかモラルめいた話になってしまいますが、そんな倫理的意味は一切ないものとして、単純な問い合わせとしてお考えください。

時間がいくらあれば、お金がいくらあれば、十分に充足できると思いますか?

私はこれをよく考えるのです。あくまで仮定として(現実に有り余るお金と無限の時間を持っていれば、このような自問自体しないはずです)ですが、今必要・欲しいものを買い切ることのできる総額とはいくらになって、それを完全に堪能するのに必要な時間とはどのくらいであるか、ということです。

タスクを放り込むin-boxが決まっているメリット


なぜここでいきなりタスクの話か。読み進んでいただければわかります。

何かをやりたいとか、やるべきだということになった時、それをすぐに記録しておくことのできる「容れ物」がいります。これがないと、処理しきれないほどタスクを抱えたり、やりきれないほどやりたいことが出てきた時、混乱の中で大事なことを忘れてしまいます。

1カ所にまとめることの利点は常識ですが

・そこに入れればなくならない
・そこを探せば必ず出てくる
・その中のものを比較検討できる

などのメリットがあるわけです。スーパーで買ってきたものをそのままにしておく人はめったにいないでしょう。冷蔵庫や棚の中にしまっていくのは、腐らせないという目的の他、次に自分が探す先に購入物を移動しておく必要があるからです。

レシピがあるメリット


タスクを入れるただ1つのin-boxが決まっているということは、それだけで意義のあることですが、やるべきことややりたいことをことごとく放り込んで、それだけで幸せになれるかといえば、なかなかそうもいきません。

1人の人間でも実際に行っている活動はたくさんあります。in-boxにただ放り込んでおいたのでは、「そこに大事なやるべきことの情報が集まっている」というだけで、それをいつまでにやるのか、どのようにやるのか、自分だけでやるのかといったことについて、何もわからなくなります。

実地に作業を進めるに当たって「レシピ」の力は強力です。手順、必要な資料などの情報、作業完遂にかかる時間などが整っていれば、タスクは高い確率で処理されるからです。

「レシピ」というのはシゴタノ!の大橋悦夫さんが一番よく使っている言葉で、「チェックリスト」の方が一般的でしょう。厳密に言うと「レシピ」は「チェックリスト」よりいささか広い概念です。

チェックリストは漏れなく作業を遂行するためのリストですが、レシピは手順、材料、所要時間などの情報まで集まっている1つの情報カードです。これがあってもなお「やる気がなくてできない」ことはありますが、やり方もあいまいで、気力ものってないとしても、レシピがあれば何とかなる。そういうことが少なくありません。

in-boxとレシピをつなぐもの


問題は「in-box」をどうやって「レシピ」の中に入れるかです。あるいは手持ちの「レシピ」にははいらないような真新しいアクションが発生するかも知れません。そうなると「レシピを作る」という作業が発生します。これはなかなか骨が折れ、しかも時間までかかります。

ここで、冒頭に戻るのです。わたしたちは「レシピ」がありさえすればやりたいことが全部できるわけではないのです。効率的に行動を取ることができ、時間も労力も節約はできますが、時間や体力、それにお金などのリソースには限界があります。

GTDはこの問題に対処するために、優先順位や鳥瞰的視点などの概念とともに、「いつかやるリスト」を用意しています。

私はこの問題に対応するために、時間的限界はタスクシュートを使って検討し、経済的限界は家計簿を使って検討しています。体力というリソースについてはうまく検討できていないのですが、睡眠時間で大ざっぱに代替えしています。

もちろん「やりたいこと」「読みたい本」「妻の要求」などは安定普遍の要素ではなく、かなり不安定です。この件については以前も書いた事ですが、「ライフログ」にはこの問題への新しい展開を期待できるかも知れません。

今「ライフハック」には「ライフログ」をより無理なく、より無意識に近い状況でも残せるという、古くて新しい役割を改めて強く意識したくなっています。