ライフハック心理学

心理ハック

049 「考えやすく」しておくと先送りが避けられる

「cognitive fluency」とは、端的にいうと、ある物事についての考えやすさ。ヒトは考えにくいものよりも、考えやすいものを好みます。これは一見、直感的な考えに見えますが、心理学者は、この「考えやすさ」がヒトの思考をどの程度誘導しているかについて、解明しはじめました。

「考えやすさ」は、ヒトの思考を様々な方法で形成するため、スーパーで買う商品から選挙で投票する候補者まで、情報を評価するあらゆる場面で意思決定に関与。魅力や信頼、疑念といった感情がどのように作用するかを解く鍵となっています。

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こちらの記事は、記事内容にも研究内容にも、もう一つ納得がいきませんでしたが、「ある物事についての考えやすさ」についての研究は今後もずっと発展して欲しいと思います。

私達の感情的な意思決定は非常に安易です。非常に安易だと常々思っています。「私は直感的に判断する」とおっしゃる人が、どの程度御自身の安易さを正当化するためにそう言っているのか、検証したくなることがあります。

・あの人感じ悪い
・わかる

このような発言が飛び出すタイミングが、あまりにも速い。速すぎる。この速度を支えているのが「直感」であったり「感覚」であり、いちいち証拠を網羅的に検証せずに判断できるヒューリスティックスを持つ人間の優れた点ですが、それにしても認知資源を節約しすぎていると思うのです。

先送りと間違った判断


先送りというのは、たいてい「このタスク感じ悪い!」という高速判断によって実施されてしまうものです。私の発想はすぐにタスクを人がどう処理するか、またはしないかにつながってしまいますね。そういうことが私にとって「考えやすい」のです。

ですが「このタスク感じ悪い」というのは、非常にあっさり覆ることがあります。

・ちょっとやってみたら意外と感じよかったかも!

ということもあります。これをクレペリンの作業興奮によって説明し出す人がいるのですが、どうかと思います。というより強引すぎるでしょう。これはただ、少し注意を振り向けてみたら判断が変わった(初期の直観的な判断が修正された)というだけのことです。

タスクの先送りを避けるには、「考えやすく」しておくことです。あるタスクが外見上考えにくそうだと「感じ悪く」見えてしまい、そのせいで手をつけにくいものになります。

小分けにするとか、Evernoteの関連資料にひもづけるとか、時間を見積もっておくというのはどれも、タスクについての一見したところの考えやすさを増大させるという方法論です。パッと見た瞬間に考えることのできる状態は、「感じがよい」ように見えるわけです。(なぜならその分認知資源を使わずに手がけられるからです)。