心理ハック
055 心理的なコンテクストを変える
「ノマド」というのが流行るというのはとても面白い現象です。
オフィスから喫茶へ場所を移してみても、あるいは書斎から喫茶へ逃げてみても、仕事がはかどるようになる環境的理由は、ほとんどありません。というよりも、あるべきではありません。
もちろん「あるべきではない」のであって、現実にはあります。まず、邪魔が入らなくなることが筆頭にあげられるでしょう。次に、人間には「新奇性刺激」と「馴化」が強く働きますから、毎日同じ環境で仕事をしていると、眠くなってしまいます。
邪魔の有無には状況によってずいぶん違うでしょうが、心理的理由は多くの人に共通してあるものでしょう。
コンテクストは可能性
資料がそろっている。電池の切れないパソコンがある。ネット環境をわざわざ用意するまでもない。
だいたいノマドの環境は貧弱なものです。カフェの方が仕事をするのに都合いい物理的な理由は、ほとんどありません。ノマドをするのは基本的に心理的な理由なのです。
ふつうに考えればコンテクストとは「そこでしかできないことを優先する」考え方ですから、わざわざできることを減らす理由はありません。「@池袋」というリストには、池袋でしかできないことを置くべきでしょう。
オフィスや自宅というコンテクストにはないが、カフェのような「ノマドコンテクスト」にならあるもの。きっとそれは「やる気」なのでしょう。新奇性刺激によって興奮が高まることもあれば、大橋悦夫さんの言う「あえてプアな環境に身を置く」ことによって発生する一種の切迫感も期待できます。
いずれも心理的な理由です。「外回りが多い」など、必然的に選択されるノマドではなく、「あえてプアな環境に身を置く」方の、物理的必然性によらないノマドを選択するのは、心理的なコンテクストを変えたいがためでしょう。
Strategy for Simple Lifeさんで、ありがたいことにご紹介いただいておりますが、このたび用意した「残務ゼロ研究会」もようは、心理的なコンテクストを変えるための空間を作り出したかったという動機で始めています。
2時間あれば、色々できるのは分かったけど、やっぱり今日は帰ったらビール飲んでTVだよね、という方には、佐々木さんの残務ゼロ研究会がおすすめです。
自宅という空間には、すべてがそろっているゆえに、かえってやりにくいこともあるわけです。喫茶にもあるところには、テレビもビールもありますが、自宅にあるのとは意味が違ってきます。これも心理的な意味です。
「いつかやる」をやるための場ですから、気になっていたあのタスクをやってつけてしまいませんか。2時間あれば、タスク管理ツールの乗り換えだってできます。
「2時間」というのは大きなリソースです。やる気の他にノマドによってもたらされるリソースは「区切られた時間」でしょう。ただし気をつけていただきたいのは「2時間あれば何でもできる」わけではないことです。私達は時間リソースに飢えているため、この種の錯覚に陥りがちです。長い時間を過大評価するのはやめましょう。
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