ライフハック心理学

心理ハック

タスクのリネームは効果あり?

はじめのころはちょっとした思いつきに過ぎなかったライフハックに、その後何度もお世話になるという幸運があります。

タスクのリネームがそうです。「このネタはここで見たぞ」などという意地の悪いブクマコメントをされようと、今後もこのネタは使います。だれかの(自分のを含む)先送りが1つ減るなら、ライフハックネタの使い回しなど問題だとは思いません。

それにこのライフハックはけっこう取り上げる意義があるのです。軽視されやすいネタのようで、それなりに効果を発揮するからです。つまりタスクの命名を軽視してはいけないのです。

名称は知覚対象に対する態度を変えてしまう


この種の実験は幅広く行われていますが、最近出た本の著者も行っていました。その方は盲目の女性らしく「識別しがたい色の差異」というテーマを取り扱いました。ご本人には色別もなにも「色」が見えないのです。

実験されたのは「アドーラブル」と「バレエ・スリッパーズ」という二種の色を識別すること。次の二色です。

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Pink


どちらがどちらであるかなどということについては私はなんの興味もないので書きません。興味のある方はリンク先に飛んでチェックしてみて下さい。他にも識別しがたい色がたくさんあります。

これを識別できるかどうかが実験です。ラベルがついていれば、もちろん識別できます。「私はバレエ・スリッパーズの方が好きです。なぜなら……」と説明も始める。

でもラベルがただ「A」とか「B」とかになると、どちらがどちらか分からなくなってしまう。もしラベルが一切ないと「同じ色だ」と判断する人が増える。

そう珍しい実験ではありません。ペプシとコカの瓶を取り替えると「好きだ」といっていた銘柄を裏切る人がたくさんでるという実験もありますし、ビールでもコーヒーでも似たような追試がされています。

大事な点は、単に分かりもしないことをラベルだよりに分かった気になっている可能性だけでなく(その可能性はもちろんありますが)、ラベルがつくことによって識別力が高まる可能性の方です。それもまた十分あり得ることです。私達はカレンダーや時計によって日時識別を補助してもらわなければ、たぶん完全に失う記憶がもっと増えるでしょう。

時間や味と似て、色というのも非常に境界線があいまいですから、ラベルは極めて重要です。

ここでタスクに話を戻すと、プロジェクトの特定の段階や、ある種のタスクそのものというのは、何ともとらえどころない場合がよくあります。たとえば「アイデアだし」とはすなわち何をしているのか。「整理」というのもたぶん人によって解釈の幅がとても広い。

「掃除」「書類整理」「カスタマイズ」「環境設定」。タスクに書き込むときにはやることのイメージがハッキリしていても、翌朝タスクを見てやろうとしたときに、完全に同じイメージを再現することはたぶんできません。めったにやらないことやいろいろな作業を含むタスクでは特にそうです。

よくタスクリストやツールはシンプルなほどいいという意見を聞くのですが、シンプルなツールほど「達人向け」という印象が最近ますます強くなっています。「掃除」とあるだけでやるべきことをいつでもできるという人はすごいです。私だと

●月●日の4時から6時の間7分かけて書棚の1列目の1段目の書籍を全部ブックオフに売るための箱に移す。この作業は3日おきに行うこと。そうしないとホコリがたまって30日以上やらないままになる。そのようなことが過去6回あった

というように表示されていないとやるべきことをやる気がしないのです。そしてこうした識別子を全部タスクに与えられるツールはいきおい複雑になるのです。

今日の記事【外部リンク】

人は何がどうなると「見た目がよくなった」と感じるのか? | | 作家の作業日報 | あすなろBLOG

知っている人は先刻ご承知の通り、私は「見た目」というものにはほとんど頓着しません。「なにもしなくてもいい状態で見た目のいい方がいい」くらいなものです。

したがってこのエントリを読む前にまず考えました。iComptaの見た目をよくするってどうやるのだろう?と。

で、読んでみて「ああなるほどそういうことですね」と納得しました。私はやらないのですが、やってみればこれはそれなりに効果があるかと思われます。