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心理ハック

先送り心理に潜む「外部性」の忌避

外部性 – Wikipediaというのは経済学の概念ですが、私はとても優れた発見だと知ったときいは感心しました。経済学で外部性の扱いはとても込み入ってきますがとても面白い。しかし経済学をひとまずおいても、この「外部性(とくに負の外部性)」というのは様々な問題を引き起こします。

愛煙家がタバコを吸うとき、喫煙家が欲しているのは「タバコのうまさ」であって煙で他人を苦しめることではありません。この意図せざる(悪)影響を指摘されたり非難されると、どうしても人は平静ではいられなくなるようです。

しばしばブログが炎上したりするのも、主旨と関係ない(と発信者が考えていた)点を読者に厳しく指摘されたりしたときです。たとえば愛煙家が「タバコの煙が身体に悪いといったって、そんなの大したことじゃないだろう?!」といったりすると騒動が起こりがちです。

愛煙家は決して「タバコの煙が健康におよぼす影響」についてそれほど詳しいわけでも、まして議論したいわけでもないのです。愛煙家はただ、タバコが吸いたいだけなのです。脂臭くならずにすむタバコが同じ質ならそちらを吸うでしょうし、煙の出ないタバコが同じくらいうまければそちらを吸うでしょう。

それなのに煙について議論を始めるので、議論はすぐにおかしな方向に走ってしまい、しかもエスカレートします。こういったことはタバコに限らず、実はどんな行動についても多かれ少なかれ起こりうることです。

意図せざる悪影響について他人から指摘されたくない。このもっともな心理はしかし、あまり度を超してしまうと、行動自体起こしたくないと感じてしまうでしょう。「ちょっとしたこと」を決まって先送りにしたくなる人には、この部分ではまっている人がけっこういます。