心理ハック
プロジェクトかコンテクストか判然としないとき
現実のアクションというのは、プロジェクトの元にあるのか、それとも何らかのコンテクストにおける行動と考えるべきかは、実は自明でないことが多いものです。
たとえば旅行前に薬屋さんにいって、必要なものを買いそろえようとするとき
□薬局
└□キンカン
└□日焼け止めクリーム
└□目覚ましガム
└□箱ティッシュ
というようなリストを作ったとします。一見したところこれは「薬局」がプロジェクトのように見えてしまっていますが、言うまでもなく「薬局」はコンテクストです。この種の混乱が実際に二度手間を発生させるのは、たとえば「旅行に必要なものリスト」(これもプロジェクトらしく見える)などを作ったとき、「薬局で買うモノ」をそのタイミングで思い出してしまったケースがあります。
人の認識や記憶は決して「旅行はプロジェクト」で「薬局はコンテクスト」ということをポップアップさせられないのです。それは訓練のたまものです。薬局などは場所ですからじっくり考えれば上記のようなリストは、本当は避けるべきだと考えることもできますが、最近私が買った新しいMacなどになると、どうしようもなくなってきます。
はたしてMBA13「で」設定するのか、それとも「を設定する」のか。もうどっちでもいいと思うでしょう。しかし次のようなリストを作ってみると、どうしても悩ましい問題が残ります。
これらをMBAにインストールして設定すればいい。ですが、TextExpanderやiCOmputaについては、他にも色々とやりたいことがあったのです。ならばこの下にぶら下げていけば良さそうですが、そんなことをしていると、MBAの設定がいつになっても終わらない。できれば今週中にも使いたいのでそれもよくないのです。
また、すでにTextExpanderでやりたい設定のことをリスト化してしまっています。そのリストにおいては、TextExpanderがプロジェクトのように、少なくとも親タスクとして振る舞ってしまっているのです。
私はOmnifocusを使ってこの問題については、親タスク、またはプロジェクトを全て同時にコンテクストにもするというやり方でしのいでいます。こういうところがOmnifocusはとても秀逸で、他のツールでもできることですが、やりやすい。
これで「コンテキストビュー」から見れば、TextExpanderやDropboxというリストアップが得られます。また、Omnifocusには Focus in new windowという機能があって、どのタスクもどんなプロジェクトの元にあるかを右クリックから新しいウィンドウで即座に把握できるようになっていますから、思いついたトリガーでまとめて処理するにはとても便利なのです。
以上のことを非常にわかりやすく、ほとんどバカげた表記にしてみると、こういうことです。
□今日のホームパーティ
└□ホットケーキを作る
└□小麦粉
└□小麦粉の有無をチェック(@今日、@家)
紙の上の表記だからこうなるわけですが、左の一番先頭に出てくる「今日、家で」という概念が、末端項目のコンテクストとしても現れてしまいます。これだけならべつにどうということもないわけですが、長大なリストの中でこれが生じると、リスト作成中に当惑した気持ちに襲われるものです。
以上のような困難は、おそらく私達の現実認識というものが、コリンズとロフタスが提唱したような活性化拡散モデルに近いものだからだろうと考えられます。