旧ライフハック心理学

心理ハック

人づきあいは面倒だが、孤独は耐えがたいという人のために

表題のような人は大変「困った人」のように思えるかもしれませんが、そんな事はありません。両者を極大までおし進めれば、誰だってそうだと言えます。

たとえば人間関係の幅を最大に広げ、ありとあらゆるタイプの人と、野放図につきあう義務をおうとなれば、相当の人間好きでもさすがにうんざりするでしょう。賑やかなところが好きでも、人混みはきらいという人はたくさんいます。

一方比較的孤独が平気という人でも、無人島に島流しになって、あとは一人で一生やらねばならないとなったらなかなかな大変です。寂しいなどとは言っていられないかもしれず、言葉も忘れてしまうでしょう。

したがって

孤独感 < 友人関係 <人間関係一般

という両極の間に入ってくるのは普通のことです。比較的「困ったこと」になるのは、自分が求める「程良さ」と現実との乖離が大きい場合です。比較的人恋しがり屋なのに人間関係に恵まれていない場合と、比較的孤独癖が強いのに、いろんな人に関わられることを拒みきれない場合です。

ここまではまだ簡単な話なのですが、寂しさとうっとうしさの狭間で少々深刻な問題に発展するのは、1人の人間の「孤独癖」と「寂しがり」が変動するからです。たとえば体調の変化次第でも変動します。

たとえば扁桃腺が腫れると「孤独癖」が強まる人がいることは、心理学の研究で明らかになっています。これは病原菌に対して免疫反応が生じるため、社会的交換に割くエネルギーが不足するからです。

人と仲良くやる気分じゃない。放っておいてくれ。というのはなにも強がっている訳ではなく、身体内部の闘争で忙しいため、「外部」にまでエネルギーを割いていられないという感覚の露出なのです。脳は身体に休んでいて欲しいとも言えます。

しかし同時に扁桃腺が腫れると急に人恋しがる人もいるでしょう。こちらの方は『孤独の科学』(河出書房新社)で強調されていた理屈です。身体が弱っているため、社会的援助の必要性を脳が意識しているのです。

どちらの態度もそれなりに合理的なわけです。どのような気分になるかは、それこそ病気にでもなってみないと分かりませんし、病気の重さにもよるでしょうが、体調が悪くなればふだんとは他人に対する気持ちも変わるであろうことくらいは知っているでしょうし、意識しておいて損はありません。

「アドバンテージを見る」


やや「心構え」的な話になってしまって、いまひとつ「マインドハック」でないのが我ながら残念なのですが、私は「アドバンテージを見ている」という表現が好きです。サッカーなどで、反則された側が有利な状況にあるので、試合を止めずに続行している状況などを指します。

つまり「いつでも選択権を行使できるが行使しない」というような状況です。株式投資などで、含み益が大きいときも同じような状態だと思います。「利益確定」を待てる訳です。

体調が悪いときには、この「アドバンテージを見ている」を人間関係で意識すると、わざわざ調子の悪いときに人間関係でがんばる必要が減るし、人恋しさに煩悶せずにすみます。つまりちょっとやそっとで離れることはない関係者のことだけを意識するのです。

ブログを基本連日更新していたり、SNSなどで高頻度で情報発信する人が、どうしても休む際にはとくに留意すべきことです。休めばいろいろなアクセスが下がったりするでしょうが、休んでも変わらずアクセスしてくれる人たちとの関係は、元気になった際にまた更新や発信を再開すれば「アドバンテージを見ている」になります。