心理ハック
完璧主義タイプの先送りをライフハックする
『グズの人にはわけがある』では先送りを6タイプに分けています。
・完璧主義タイプ
・夢想家タイプ
・心配性タイプ
・反抗者タイプ
・危機好きタイプ
・抱えこみタイプ
この6タイプそれぞれに分析し、しかも「先送り癖」を克服するための自己変革プログラムまで紹介してくれています。つまり本書はゆるやかな自己啓発書ということになります。
著者らのカウンセリングの実際に基づく方法論であり、内容は良心的かつ現実的ですが、それでも自己啓発書の逃れがたい宿命として、心構えが本の中に書いてあるのみです。つまり本を閉じて心構えのことを忘れてしまうとそれっきり。著者にはそれ以上どうしようもないのです。
こういう本を読むとちょっと考えるのが、本に書かれている「自己変革プログラム」を半強制してくれるようなツールがあったらどうかということ。もちろんツールなんて無視することができますが、日常にダイレクトに分け入ってくるリマインダーのようなツールが「心構え」の実行を強制してくれれば、効果がある人には効果があるかもしれません。
Taskchuteで完璧主義を克服する
たとえば6つのタイプのうちの1つ、完璧主義克服のためにTaskchuteを使うこともできそうです。
『グズの人にはわけがある』にはかなり具体的な「完璧主義克服法」が述べられています。たとえば次の2つがそうです。
1.完璧に仕上げるために、過度の時間とエネルギーを費やしてしまった例を、最低二回思い出す
2.完璧な仕事ができない不安からまったく手をつけなかった、あるいはギリギリになるまでしなかった例を最低二回思い出す(p74)
これを実行することは非常に有効です。しかし問題は「思い出す」という方法であることです。本を読んでいる人の過半は思い出さずにここを通りすごし、翌日には損な方法のことは忘れてしまうでしょう。
また「過度の時間とエネルギー」という下りにも問題はあります。「過度」とは何時間でいいところを何時間かけてしまったことを指すのでしょうか? 普通の人がジャッジしてくれるのではなく、完璧主義者が自分の時間の使い方を「思い出す」だけであるところに注意して下さい。
完璧主義者にTaskchuteを使ってもらいましょう。すべての仕事を完璧にしようとタスクリストを作って、必要十分な時間を見積もりに入れる事になります。終了予定時刻はおそらく翌々日の夜中にもなるでしょう。つまり不可能なことをやろうとしているということがあまりに明らかになるはずです。
また、完璧主義者はやろうとしていることの数もそもそも多すぎるので、実際にはやろうとしていることの1/5も終わっていないことも分かるはずです。「思い出す」必要などなく、記録にそのことが残っていきます。
つまりTaskchuteを毎日使い込むだけで、必要な発想の転換や、時間の使い方について「思い出す」こと以上のメリットが得られます。書籍にあるような「話し方を変える」を実践せずとも完璧主義を緩めることができます。