心理ハック
人は「失いたくない」からがんばる
教師たちに(生徒たちにではない!)事前に報奨を与え、クラスの成績が上がらなければそれを取り上げると脅すことによって、生徒たちの成績は実際に上がったのだ。
なるほど、という研究結果です。
確かにヒトの(おそらく人には限らない)「損をしたくない」という感情と「得をしたい」という感情にはギャップがあります。そんなに食べたくないものであっても、バフェットなどにいくとつい食べ過ぎてしまうのが人間というもの。「無料で食べられる」ことが確保されているのを残すのは損だ、という心理が働くせいでしょう。
この非対称性を利用するというわけでしょう。作り話ですがプロ野球を例にとりましょう。
・今年ホームランを30本打ったら年棒を1億にしてあげよう
・今1億円あげる。でも今年のホームランが30本未満ならいくらか返すように
下のように言われた方が、必死になりそうです。そもそもお金を少しずつ使っていってしまう恐れもあります。(あとでは返せなくなる)。
いずれにしても「ご褒美作戦」に違いはありませんので、ご褒美を与えたり取り返したりできる「権力者」の存在が欠かせませんし、1人でできるかどうかは疑わしいマインドハックですが、うまくやればマーケティングなどに応用できそうです。(と思う人は多いでしょう)。
ある意味では一時話題になった「フリーミアム」はこのやり方です。無料でインストールしてしまったアプリが便利だったりすると、もう手放せなくなる。(先に報酬が与えられている)。だからその便利さを「失わないため」にお金を払うわけです。「試用期間」は良心的な手法ですが、そういう心理も「図らずも」にせよ「役だって」いるはずです。