心理ハック
タスクを小分けにして書き出すことは正しいことでも、それをしたくなくなる心理
心配しすぎて先送りする問題に対処するために「言語化する」というマインドハックを書きましたが、さほど難しそうでもないこのことが、意外にできないという人は少なくありません。
理由があります。
7±2
この数字は有名なので、パッと見てすぐに何の話かわかる人もたくさんいるでしょう。一応説明しておきますと、短期記憶の一般的な限界数を示しています。
パッと見てとりあえず覚えておける「個数」は5〜9個が一般的な限界ということです。
9187 145 10
これで9桁。今5秒見て1週間後も覚えておける人は、特別です。
しかしこれの区切りを少し変えて、意味のあるまとまりに直してあげると、たいていの人が1週間くらいは覚えておけます。
918-714-510
これなら、975と覚えておいて、後ろに2をかけた数字をくっつけた組み合わせを思い出せばいいだけです。
短期記憶の限界数が7前後にあるなら、その7つの中に、意味のあるまとまりを詰めてしまえば、覚えられることは飛躍的に増えるというわけです。この「まとまり」のことを「チャンク」といいます。
頭はチャンキングしたがる。つまり分解はしたがらない
私たちはたくさんの物事を目にすると、本能的にまとめたがるところがあるわけです。その方が記憶しやすく、記憶しやすいということは、把握しやすいからです。電話番号にハイフンを入れるのは人間のためであって、コンピューターにはない方がいいのです。
私たちは「部屋の掃除」とか「書類整理」とか「机をきれいに」したがりますが、書類の一つ一つを取り出し、それらが何であるかを確認し、処理の仕方を決めてさばく、というやり方をおっくうがります。それは、直感に反するところがあるからです。
しかしチャンクしてしまうと、不安が増大します。一つ一つの行動には、たいていわずかながら判断を必要とするから、積み上がると不安になるのです。また、たくさんの行動をとるには、時間がかかりますから、時間を失うという不安も生じてきます。
分解して、小分けにしたタスクに集中することが、不安の解消につながるのは、こういうわけなのです。