心理ハック
モチベーションを「思い出す」ための休憩
ちょっとした作業すら、やる気になれないというときには、立ち上がって水を飲みに行きましょう、という類のことを本に書いたことがあります。これの効用の説明の仕方はいくつかありますが、内省してみると、「思い出す」ということがいちばん関係しているようです。
自分が立って歩けることや、その気になれば走れることを、本当に忘れているわけではありませんが(いつかそうなることは忘れていますが)、本当に短い時間の健忘という意味でなら、ふと、忘れていることがあります。
本当に寒い冬の日などに時々起きることですが、「外に出ても耐えられる」ことを忘れているのです。特別な能力も、「野生の力」なんかも要らないことで、外に出てみれば私のような軟弱者でも思い出せる程度のことでも、感覚的には忘れてしまうのです。「こたつから出るのには耐えられない」というやつです。
机で仕事にかかりっきりになって、特に同じ体勢をとり続けていると、別の体勢をとれば簡単にできることを、忘れてしまいがちです。「水を飲む」というのはそういう意味で、机の上にペットボトルが置いてあったのでは、同じ効果が期待できないものです。
作家が散歩している光景は、もはやマンガの光景になりつつありますが、あれは「アイデアを思い出せるようにしている」のだと思います。手が動き、脚が動き、身体が動くから、発想できることがあります。仕事を前に、「モチベーションを発想する」というのは変ですが、「モチベーションが高い自分だったら」と思うことはあるでしょう。
想像するのは難しいことでも、思い出すことならできます。両者は言葉ほどのちがいはありません。富士山のことを思い出すといっても、富士山のことを想像するといっても、実際にやることは同じようなものです。
やる気を出そうとしないで、やる気を思い出そうとしてみることです。そのためにはそこら辺をぶらついて、水でも飲んでくるのが早道なのです。