ライフハック心理学

心理ハック

051 書き始めれば書く気がわいてくる?

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これが誰にでも当てはまるなどとはいいません。しかし昨日の記事の自然な結論として、こうしたことも言えるはずです。

実際、これもみながみなというわけにはいきませんが、書くことを職業としている人の中には「ネタは書き出せば出てくるはず」という意識のもとで作文している人もきっといるはずです。

昨日の末尾には次のように書きました。

椅子に座って手を止めて空想している際には決して活性化することをイメージできなかったたくさんの細部が一斉に動き出して、まったく想像もしていなかったようなモチベーションが高まり、想像しなかった光景が現れるわけです。

050 「やり始めればやる気がわいてくる」と言われる心理学的な理由 – ライフハック心理学

これは次のように書き換えてもおおむね自然です。

椅子に座ってネタを検討している際には、決して活性化することをイメージできなかったたくさんの細部が一斉に動き出して、まったく想像もしていなかった記憶がよみがえり、書きたくなるようなネタがどんどん頭に浮かんでくるわけです。

私はふだんからこう思っているので、机の前にぼんやり座っていても文章は書き出せないし、RSSリーダーをいくら詳細にあさっていてもダメだと思うのです。RSSで新情報をチェックしてたとえばブログをぽんと更新できる人というのは、どんなところからどんな情報を採用するか、最初からしっかりアタマにあるはずです。

アウトプットしているうちに自分のテーマを思い出す


やる気も書く気も「思い出す」ものなのです。そしてこと「書く」という点について言うと、「ネタ」とはたんによい材料ではなく、モチベーションを高めてくれる材料です。書く気になるような材料が必要なのです。

「書く気持ちは心の中にあっても、書くための材料は心の外にある。だからRSSをチェックする。そしていいネタに出会い、モチベーションも刺激してもらいたい」と思われる方は多いのでしょうが、私はそうは思いません。心の中とRSS(心の外)というように分けてしまえば、他にはなにもないと思えるのでしょう。しかし「忘れていること」があります。

クリーブ氏の短期記憶は数秒しかもたず、「実際にやっていなければ、ほとんどなにも記憶できない」とサックスは綴っています。しかし、クリーブ氏の音楽的な個性や演奏の持ち味は、ほとんど元のまま残っており、必要なのは「起動」させることだけだったとか。クリーブ氏は、音楽を演奏したり、合唱すると、以前の技を見事に実行。指や意識が動いている限り、美しい演奏ができたそうです。

クリーブ氏の妻は「音楽の勢いが、クリーブをひとつひとつ動かした。リズムやキー、メロディによって、どのフレーズにも前後関係があるので、彼は自分がどこにいるのかを正しく知っていた。音楽が止むとクリーブは元に戻ってしまう。しかし、演奏している間は、正常に見えた。」と書いています。

アイデアの実現に勢いが不可欠な理由と、これを実践する4つの方法 : ライフハッカー[日本版]

昨日も引用しました。これが「忘れていること」です。クリーブ氏は手を動かして演奏を始めれば思い出せることをふだんは忘れています。

私達はたしかにクリーブ氏ほど深刻な状況にはありませんが、手を動かさないと思い出せないことがあることすら思い出せない、という点において彼とちがいはないのです。