旧ライフハック心理学

心理ハック

036 積み上げると、下をとれなくなる(逆向干渉)

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1192 イイクニつくろう鎌倉幕府(鎌倉幕府開幕)
1867 イヤムナしいよ大政奉還(徳川幕府の滅亡)

と、2つの項目を覚えると、最初の方を思い出しにくくなります。これを「逆向抑制」(逆向干渉)と言います。

実際のところ「項目X」を覚えた後「項目Y」を覚えると、「Y」が干渉するから「X」を思い出しにくくなるのか、それともただ単に時間が経って「X」を「忘却」してしまうのか、両者を区別することはそう厳密にはできません。

簡単じゃないかと言う方は、次のような「対称実験」を思い浮かべているはずです。

1.1192を覚えさせる → 次に、1867を覚えさせる(干渉あり)
2.1192を覚えさせる → しばらくなにもさせない(干渉なし)

「テスト」をやってみて、1の方が成績が悪ければあとから覚えたのが良くない(干渉)。しかし、1と2とで成績があまり違わなければ「時間の経過」が問題。

ということになりますが。

現実には「なにもしないで」時間を過ごしても、人間の頭は何かを考えています。何かを聴いています。何かを見ています。つまり「干渉」はどうしたって起こります。干渉のまったくなさそうな空間、つまり「ブラック・ルーム」に放り込むと、人は「空想」を始めます。あるいは眠って「夢」を見ます。ようするに、上の2を「干渉なし」と定義はしましたが、それは実験者の願望であって実際には「干渉はある」のです。

というわけで「干渉」対「時間の経過」という対比をあきらめ、

「どんな干渉が思い出す妨げとなりやすいか?」

と問うべきです。これには、調査結果があります。

第一学習(先の学習)と第二学習(後続の学習)が時間的に接近していたり、学習内容が類似していたり、第二学習の学習量が第一学習よりも多い場合に、逆向抑制の程度は大きくなる。
[株式会社有斐閣 心理学辞典]

あまり間を空けずに似たような情報を大量にインプットすると、何が何だか分からなくなるという経験をお持ちの人は多いでしょう。引っ越し前の短時間に多くの物件を見て回ったりすると、どの家がどのようであったかがこんがらがってきたりしませんか。

ありきたりな話なのですが、こういうケースにこそEvernoteのようなデジタルノートが活躍します。情報が類似だろうと上にいくら積み重なろうと混ざったり取り出しにくくなったりしないからです。新しい順にも古い順に並び替えるのも一瞬で正確にできます。生身の脳にはちょっとムリな芸当です。